須田幸英税理士事務所 事務所通信 平成23年6月号掲載
叔父の死
 
  4,5月と二人の叔父の葬式がありました。いずれも私の父の弟です。私は長男のため父の代わりに出席してきた次第です。
特に、5月に亡くなった叔父の死においてはいろいろ考えさせられました。

その叔父は、弱電関係の仕事を自営でやっており、私が短大に通った2年間そこでアルバイトをさせていただきました。そこでは仕事に対する心構えや人生について酒の飲み方に至るまでいろいろなことを教わりました。

 仕事について今でも覚えていることは、朝の出勤です。私はもともと朝が苦手の人間で今でも得意とは言えません。その叔父が私にいったことは、仕事とは始業時間に間に合えば良いというものではない。朝来たら新聞を読むくらいのゆとりがなければならない。それから一日の段取りをして始業時間を迎えなければならないということを繰り返し教わりました。確かに、ギリギリで会社に飛び込んだのでは、頭と体の切り替えがすぐにできないので良い状態で仕事がスタートできるはずがありません。

 それから、弱電関係の製品を製造していたわけですが、美しい製品を作るということを教わりました。はんだごてを使っての作業でしたが、理論的にいえば線と線がつながっていれば物理的な特性に何ら支障はありません。
 しかし、それでは売り物になりません。相手が買ってくれなければ商売にならないということです。商売にならなければ生活が成り立ちません。このことは、全ての仕事に当てはまるのではないでしょうか。

 その叔父は、享年75歳でした。今でいえば早すぎる死ということになるでしょうが、本当にそうでしょうか?
 2月に脳梗塞で倒れ、そのまま入院生活の末に亡くなったということです。病院嫌いで、常用している薬はなかったようです。しかし、昔は皆このような死の迎え方だったような気がします。薬漬けになって、自分が何者であるかわからない状態で長生きしてもどんな意味があるのでしょうか?
 そう思いつつ、子供が一人前になる前に死ぬ訳にもいかないので、高血圧の薬を毎朝飲んでいる自分がいます。
 矛盾を感じながらの葬式でもありました。


 
                                                 所長 須田幸英
 事務所通信6月号掲載
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